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BRICsは「BRICS」となるか-南アフリカの台頭(日経ビジネスより) 

 日経ビジネスに南アフリカの記事(日経ビジネス2006年5月22日月曜日)が出ていたので転載しておきます。

 実際の記事はグラフが出ていて分かりやすいので、興味のある方は、日経ビジネスのサイトをご覧ください。

 この記事では黒人の中産階級が増加していると書いていますが、そこまでいかない貧しい人が実際にはまだまだ多いので、そこを解決しないと真の解決とはいかないでしょう。南アフリカの経済が伸び、雇用が増えることにより、貧富の格差の解消や犯罪率の低下など、様々な問題解決につながればと願っております。

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BRICsは「BRICS」となるか――南アフリカの台頭
日経ビジネス2006年5月22日 月曜日

 現在、南アフリカの景気は拡大基調にあり、2005年の実質経済成長率は前年比4.9%増と、2004年の同4.5%増から加速しました。金や鉄鋼石、プラチナに対する世界需要が高まるなかで、素材関連の産業が好調に推移しています。また、2010年のサッカー・ワールドカップ開催に向けて各種のインフラも整備されつつあり、ケープタウンの沿岸部などではリゾート開発が積極的に進められています。

リゾート開発や金・鉄・プラチナの宝庫


 マクロ経済が好調に推移していることを反映して、外国企業が南アに直接進出する動きも強まっています。南アフリカ準備銀行が発表している国際収支統計によると、2005年の対内直接投資額は404億8800万ランドと、2004年の51億5500ランドの約8倍の規模に達し、対内証券投資額を上回るレベルとなりました。

 2005年の対内直接投資が急増したのは、英国のバークレイ銀行がアブサ銀行の株式の60%を総額330億ランドで取得(2005年5月)したことの影響が大きいと考えられます。この買収額は、海外企業の南アへの直接投資額としては過去最高となります。バークレイ銀行はかつて南アフリカで千店舗を展開する大手銀行だったのですが、人種隔離政策(アパルトヘイト)に協力しているとの批判を英国から受けたため、1986年に南アから全面撤退していました。南ア経済が好調なことを受けて、再度南アに進出することになったのです。

GM、トヨタ、フォルクス・ワーゲンも本格進出

 もちろん、対内直接投資の増加は金融の分野だけにとどまりません。素材産業では、2005年中に、オランダに本拠を置くミッタル・スチール(80億ランド)や、インドのタタ・スチール(6.5億ランド)などが南アフリカへの巨額投資を行いました。

 ダイムラー・クライスラー、ゼネラル・モーターズ、フォルクス・ワーゲンなど海外自動車メーカーの南アフリカへの進出も相次いでおり、2005年に認可された海外自動車メーカーによる直接投資の総額は70億ランドに達します。日本のトヨタ自動車は世界戦略車「IMV(革新的国際多目的車)」の南アフリカでの生産を2005年4月から開始しました。

 さらに、消費や投資といった国内の需要も盛り上がっています。

 南アでは1994年に、悪名高いアパルトヘイトが廃止され、黒人の雇用機会が少しずつ増えてきていることなどから、全人口の75%を占める黒人から中産階級が台頭しつつあります。かつては企業の管理職はすべて白人で占められていたのですが、最近では、金融や不動産などの分野を中心に黒人の管理職も出てくるようになりました。

 失業率は白人と黒人の間でなお大きな開きがありますが(白人の失業率が4%台であるのに対して、黒人の失業率は20%を超える)、最近では、年間10万人のペースで黒人の中産階級が誕生しているといわれています。所得水準が向上し、豊かになった黒人が、居住用の住宅を購入する動きが強まっているのです。

悪い治安、高まる集合住宅需要

 最近の住宅建築許可件数の内訳をみると、2005年は床面積80平方メートル以上の戸建て住宅が前年比12.2%増、80平方メートル以下の戸建て住宅が同6.4%増と、いずれも小幅な伸びにとどまりました。一方、マンションなどの集合住宅は同34.0%増と大幅な伸びを示し、これが全体の住宅需要を大きく押し上げました。

 集合住宅の需要が急拡大している背景には、治安の問題があります。南アフリカは「世界の犯罪首都」と呼ばれるほどに治安情勢が悪く、殺人や強盗、強姦といった凶悪犯罪が頻繁に発生します。凶悪犯罪の多くは、都市部に流入した貧しい非白人層によって引き起こされています。

 治安情勢が悪いので、セキュリティーシステムの整った集合住宅に住むほうが、郊外の戸建て住宅に住むよりも安全といわれているのです。

 また、原材料価格の高騰に伴う建築コストの上昇などによって、価格水準の高い戸建て住宅から、価格水準の低い集合住宅にシフトしているという事情もあるようです。

 2006年3月の住宅価格指数が前年比13.7%増にとどまるなど、不動産価格の伸びは足元で鈍化しつつありますが、1住宅価格が国際的にみてなお低い水準にあること2住宅ローン金利が歴史的にみても低い水準にあること3黒人中産階級が増えていることなどから、住宅需要は2006年も堅調に推移するとみられます。

 アブサ銀行では、実需の拡大を反映して、2006年の住宅価格は前年比10~12%上昇すると予測しています。

BRICsにライバル意識持つ南ア政府

 短期的な景気の先行きについて、懸念されるのは通貨「ランド」の上昇です。

 国際的な資源価格の上昇を背景に、資源埋蔵量の多い南アに多額の海外投資マネーが流入していることがランド高の主因となっています。ランドの対ドル為替レートは、2002年に入ってから上昇傾向で推移しており、直近の2006年4月は1ドル=6.08ランドとなりました。2001年12月の最安値(1ドル=11.68ランド)と比べると、47.9%も上昇しています。

 ランドの上昇は、製造業の輸出競争力の低下につながっており、国内の製造業からは、通貨高を抑制するために利下げの実施を求める声があがっています。

 ただ、政策金利は7.0%と(国際的にみれば非常に高い水準ですが)、南アの歴史のなかでは最も低い水準となっており、これ以上の利下げはインフレを誘発することになりかねません。中央銀行は、金融政策について難しいかじ取りを迫られているといえるでしょう。

 南アフリカの政府は、現在もてはやされているBRICsに強いライバル意識を持っています。2006年2月、ムベキ大統領は、今後 南アのインフラ整備を積極的に進め、2010年までに経済成長率を6%まで高めることを目標に掲げました(図表)。

もともとBRICsの最後の「s」は複数形の意味でつけられたものですが、将来は、これを大文字に変換して、BRICSと表記するようになるかもしれません。大文字にした場合の最後の「S」が、「South Africa」すなわち南アフリカ共和国のことを指すことは言うまでもありません。
 

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