fc2ブログ

タンディ・ワイン: 愛という名のワイン 

 タンディ・ワインはフェアトレードワインであり、この事業を始めた時からのワインだけに、私の想い入れも大きいものがあります。
 
 南アフリカ、ケープタウン郊外のエルギン地区に、祖父の代から受け継いだ果樹園を経営する元脳外科医の白人、ポール・クルーバー氏がワイン造りを始めたのは1988年のことでした(関連記事:2005年9月1日の記事「ポールクルーバー・ワイン:丁寧な手造りのワイン」 http://miyakesouthafrica.blog18.fc2.com/blog-entry-33.html)。
 ワイン造りも軌道に乗り、味や品質が評価され始めた頃、アパルトヘイト政策が廃止、94年にはマンデラ政権が誕生し、大きな転機がおとずれました。治安の悪化などを恐れて国外に移住する白人も多い中、クルーバー氏は南アフリカで生まれた南アフリカ人として国に残り、人種間の壁を越えて新しい国づくりに貢献しようと考えました。
 クルーバー氏は、所有する果樹園やワイナリーの労働者、地域住民達に、生活向上のための共同体作りを呼びかけました。そこで誕生したのが「タンディ・プロジェクト」です。

 「タンディ」とは、アフリカ系コーサ人の言葉で「愛」を意味します。「タンディ・プロジェクト」とは、農園管理・ワイン醸造責任者、マーケテイングスタッフ、プロジェクトの運営管理などに、アパルトヘイト時代に埋もれていた黒人達を登用することで、その才能や人材を掘り起こし、育てることを目的としています。そして彼らのオリジナルブランドのワインを生産・販売し、その利益で労働者や地域住民の生活環境を改善していこうというものです。
 1998年に誕生したタンディワインのラベルには、母親が赤ん坊を抱いている絵がデザインされています。それは母親が愛情を持って子供を育てるように、このワインを大事にを育てていきたいという、プロジェクト参加者全員の想いが表されています

タンディ・ラベル


 人々の「愛」が一杯詰まったタンディワインは、国際的なワイン品評会でも高く評価されています。2004年には世界で最も大きなワイン品評会である「ロンドン国際ワイン大会」でシャルドネが見事金賞を受賞。また、南アフリカのフェアトレードワインで最も成功したワインとして「マンデラ賞」も受賞しました。 
 そして何より、このワインを造っている人々が、自分達の仕事に自信と誇りを持つようになり、以前より随分と表情が明るくなりました。この「自信を持つこと」。たったそれだけのことでも、かつて抑圧され、人としての尊厳すら認められなかった時代を過ごしてきた彼らにとっては、とても大きなことでした。私達一人一人も同じことです。小さくても自信を付けた人、何においても自信のない人では、表情が全く違います。生きることに自信と誇りを持つことは、誰にとっても大事なことなのです。
 タンディは、10-15年後には、出資・協力してくれている親ワイナリーのクルーバー家からの完全独立を目指して日々努力しています。そしてこのワインは、コンセプトとその品質の高さで、現在世界中に広まっています。私達は、将来、彼らの生活がより良くなり、彼らの顔から笑顔が絶えることがないことを願っております。

タンディのサイト
http://www.cluver.com/thandi/index.php

<タンディ・ワイン>
THANDI WINES
* カベルネ・ソーヴィニョン CABERNET SAUVIGNON
* ピノノワール PINOT NOIR
* シャルドネ CHARDONNAY

<タンディ・ワインのキーワード>
* 愛という名のフェアトレードワイン
* 母親が子供を抱いているラベルのデザイン
* 「マンデラ賞」授賞など成功した高品質なワイン
* このワインのスタッフの顔が明るくなった

スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://miyakesouthafrica.blog18.fc2.com/tb.php/32-0010ad71